エマルションやコロイド系の用途は,インク・コンポジット・電子材料など多岐に亘りますが,それらの製品性能は元の材料選択と製造プロセスに依存するため,「ものづくり」の課題は物理化学的に複合的でマルチスケール性を孕んでいると考えられます.特にメソスケールの動的な微粒子系構造は,分散・塗布・乾燥といった非平衡プロセスと双方的な関係があり,製品性能を左右することはご認識の通りです.

 昨今,微細且つ高性能化が求められる電子材料/機能性材料分野への展開と差別化を狙う企業様から多くのご相談を受けますが,分散・塗布・乾燥プロセスの基本的理解が急務であると共通に認識され,その理解の場の提供を深く感ずるに至っております.

 先ずはお手元の各材料・混合材料の物性測定やプロセス上のデータを整理し,理論的概念で課題を象ることなのでしょう.一旦,データ駆動型の研究ストリームから離れて,微粒子系の分散・塗布・乾燥に関する課題定義とその理解を行ってみませんか?理論的視座から課題を再認識することで,現行と今後の研究体制の見直しを図れるかも知れません.本企画では皆さまにそのような機会を提供します.

  PIAの前身プロジェクトからおよそ20年間に亘り50社以上の研究開発現場の悩みを伺って参りました.それらを念頭においた計算機シミュレーションの研究とコンサルテーションで得た理論的知見やご提案をお伝えします.多くのご参加をお待ちしております.

PIA主催セミナー「分散・塗布・乾燥  –理論駆動型の課題定義とその理解-」の申し込みはこちら

【主催】 一般社団法人プロダクト・イノベーション協会(PIA)

【日時】 2024年11月1日(金)12:30 – 17:20

【会場】 東京大学農学部キャンパス フードサイエンス棟2F 中島董一郎記念ホール

【講師】 PIA代表理事/元東京大学特任教授,工学博士   吉江 建一
     PIA シニアアドバイザー ,博士(学術) 瓦家 正英
     東北大学大学院工学研究科教授,博士(工学) 久保 正樹
     PIA 上席コンサルタント,博士(理学) 小池 修
     PIA 主任研究員,博士(工学) 辰巳 怜

【教材】 講師作成の電子版資料(PDF).尚,紙面の配布は行いません.

【定員】 40名程度,定員になり次第〆切り.

【費用】 税込み 69,300円/人

プログラムとお申し込みについて: 詳しくは、こちらの資料をご覧ください

【セミナープログラム】 

12:30~13:20

 1.「機能材料の研究開発現場における数理モデリング」 吉江 建一

 昨今,高解像度・高精度な測定と計算機シミュレーション,更にデータ駆動型手法の採用は主流となっている.但し,それらを連携して効果を挙げているだろうか?計算機性能がまだ低い時代,客観的視点で課題を再構成し数理モデリングを行っていたはずである.具体例でその重要性を説明する.

13:20~13:30

 Q&A 1

13:30~14:20

 2.「主要太陽電池の研究開発の諸相と課題」 瓦家 正英

 日本国内外で俯瞰した,これまでの主要太陽電池から次世代太陽電池(例えばペロブスカイト太陽電池)の性能と変遷を説明する.更に選択する物質や製造プロセスに現れる課題の傾向を示し,電池スラリーに求められる物性やプロセスなどを示す.

14:20~15:10

 3.「ファインセラミックス製造プロセスの課題とその理解」 久保 正樹

 次世代ファインファインセラミックスの製造プロセスの基盤構築が活発になっているが,今回焼成を除くプロセス上の課題を挙げ,塗布成形から乾燥までのSNAP(*1)による理解を説明する.また分子動力学(MD)によって粒子表面上の分散剤の状態を可視化・解析し,粒子の分散に関する課題と知見もお伝えする.

15:10~15:20

 Q&A 2, 3

15:20~16:10

 4.「分散/混練その現象としてのレオロジーの理解」 小池 修

この入口の工程で最終の製品性能を制御したいニーズ,一方で理論的理解が進まないケースが散見される.SNAPでどの程度理解が進むのか,制御したいニーズは満たされるのか?分かった操作因子を指摘する.併せて数値シミュレーション一般の性質,及びマルチスケール性など,シミュレーションを導入してから忘れてはいけないこともお伝えする.

16:10~17:00

 5.「分散・塗布・乾燥における構造形成と物性評価」 辰巳 怜

 連続体モデルの考えでは理解に困る現象が,これらの各工程で観測されることがある.その考察材料として,外場に応答する粒子スケールの構造を追跡し把握することにあるが,SNAPでの理解と制御因子を説明する.製品コンセプトモデルの構築に資するであろう,PC上で得た粒子系構造に対して物性評価シミュレーションも行う

17:00~17:20

 Q&A 4, 5, 全体

17:20

17:20~17:45

 散会

 フリーディスカッション(時間のある方)

(*1) SNAP(Structure of NAno Particles); PIAが研究開発,保守までを行う国産の微粒子分散系シミュレータです.

 

セミナー申し込みフォーム

下記フォームよりお申し込みください.

申込期限:10月18日(金)17時まで