SNAP研究会のしくみ
共通シミュレータと個別コンサルティング
参加企業の会費をもとに,東京大学でSNAP (Structure of NAno Particles)と名づけられた微粒子分散液シミュレータを開発,その使用権を参加企業に提供するとともに,シミュレータを利用したプロセスの研究開発について各大学がコンサルティングをおこないます.このしくみによって会員企業は特許や製品を,大学は論文や特許を生み出す研究開発のスピードアップが期待できます.SNAP研究会の特長は次の2点です.
- 高機能かつ高信頼性の共通シミュレータSNAPを効率的に開発することができる
- 個別コンサルティングによって,会員独自の研究開発のサポートが受けられる
複数大学対複数企業
SNAP研究会における産学連携は従来の1大学対1企業,あるいは1大学対複数企業ではなく,東京大学を中心とする複数大学対複数企業の枠組みで実施され,東京大学内にある一般社団法人プロダクト・イノベーション協会が,参加企業と大学との橋渡しをおこないます.これによって参加企業が得られるメリットは次の2点です.
- 複数の専門分野の研究成果を効率的にアクセスし利用できる
- 参加企業全体で費用を分担することによって研究開発費用を軽減できるまた,SNAP研究会の研究開発項目は,会員企業のニーズや課題に注目して決定します.
従って,ニーズの高い項目が重点的に検討され採択され易い仕組みになっています.より詳しい情報は、SNAP研究会の専用WEBサイトをご覧ください。
SNAP研究会がめざすもの
塗布・乾燥プロセスの最適化
ナノメートルからサブミリメートル程度の大きさの球形,あるいは非球形粒子分散液を連続塗布や不連続塗布で基板上に塗布し,溶媒の乾燥によって薄膜を作製する場合,目標となる粒子系構造を作り出すプロセス条件の最適値を効率よく探索することが重要です.SNAP研究会では,与えられたプロセス条件における微粒子と気液界面の運動をシミュレーションして構造形成のダイナミクスを可視化するとともに,得られた粒子系構造を定量評価します.シミュレーション結果から塗布・乾燥プロセスにおける微粒子系の構造形成メカニズムを理解し,そのメカニズムを利用してプロセスを効率的に最適化します.
凝集・分散プロセスの最適化
ナノメートルからサブミリメートル程度の大きさの球形,あるいは非球形の液相微粒子の凝集体をビーズミル等を用いて分散させる場合,目標となる粒子サイズや微粒子分散液のレオロジー特性を作り出すプロセス条件の最適値を効率よく探索することが重要です.SNAP研究会では,与えられたプロセス条件における微粒子と溶媒の運動をシミュレーションして凝集・分散ダイナミクスを可視化するとともに,得られた微粒子分散液のレオロジーを定量評価します.シミュレーション結果から凝集・分散プロセスにおける微粒子系の構造形成メカニズムを理解し,そのメカニズムを利用してプロセスを効率的に最適化します.
膜ろ過プロセスの最適化
ナノメートルからサブミリメートル程度の大きさの球形,あるいは非球形粒子分散液をクロスフローやデッドエンドで膜ろ過したり,大きさの異なる粒子を分級する場合,目標となる透過フラックスや粒子阻止率を生み出すプロセス条件の最適値を効率よく探索することが重要です.SNAP研究会では,与えられた膜構造とプロセス条件における微粒子と溶媒の運動をシミュレーションしてファウリング・ダイナミクスを可視化するとともに,得られた透過フラックスや分級精度を定量評価します.シミュレーション結果から膜ろ過プロセスにおける微粒子系と膜との相互作用メカニズムを理解し,そのメカニズムを利用してプロセスを効率的に最適化します.
より詳しい情報は、SNAP研究会の専用WEBサイトをご覧ください。
会費に含まれるサービス
会費に含まれるサービスは、以下の通りです。
- 研究開発に対するコンサルティング
- シミュレータを使用した研究開発に対するコンサルティング
- 事例研究会への参加
- シミュレータの操作や背景理論に関する講習
- 契約時点での最新版シミュレータの使用
- 契約期間内でのシミュレータのアップグレード
- 契約期間内でのシミュレータ操作に関するサポート
- 計算機のセットアップとシミュレータのインストール