機能材料の殆どは固体であり、粒子やポリマーであることが多い。機能を実現するために、様々な物性を有した材料を混合する。材料物性が発現するのはナノサイズ以上であり、これらの組み合わせが重要になる。代表的な製造方法としては、粉砕、混合、練り、塗布、乾燥などの多様な組合せからなり、材料の多様性とあいまって、複雑性が増大している。このような状況下にあって、ものづくりの研究体制や、研究の効率化に注力する必要がある。この生産効率向上のために、AIや人材育成に投資している。しかし、AIでものづくりの現場の課題を回避することは難しい。
現実的な課題解決の方法として、MAPR (Material And Process Rheology)を提案したい。Mは材料組合せであり、Pはプロセスを組合せて、目標の物性特性値 (R: Rheology)を達成する。つまり、ペーストや塗布液のレオロジーを調整し再現できれば、目標とする製品を実現できるというストーリである。つまり、MとPから作成したスラリー、ペースト、インクなどのレオロジー物性R が予測できれば、M や P にフィードバックして望まれるRを再現できる。
コロイド系材料は化粧品、食品、電子デバイスなど様々な分野で用いられているが、 このコロイド系の制御が最終製品の性能に大きく関わっている。つまり,微粒子やポリマー、界面活性剤からなるコロイド分散系の物性把握が重要であり、その中でも特にレオロジー特性の考察と制御は不可欠である。しかしながら、レオロジー特性に及ぼす組成とその相互作用の影響、製造プロセスにおけるレオロジー測定データの解釈など、十分に解釈されていないことも多い。
これまで、PIA (Products Innovation Association) は10 年以上に亘りコロイド分散系の数値シミュレーション、SNAP (Structure of NANO Particles) を開発し学会や、企業から高い評価を受けている。最近さらに、コロイド分散系の「数値レオメータ」の開発に成功した。粒子や溶媒の性質から相互作用パラメータを計算して、粒子間ポテンシャルなどを求め、このコロイド分散系材料のレオロジーシミュレーションが可能になった。実測データの解析、把握が可能となり、企業の研究開発の発展に寄与できると考えている。
今回のセミナーでは、数値レオメータの解説、およびレオロジーと製造プロセスの絡み合いを紹介する。ご案内を関係の方々とご覧いただき皆様のご参加をお待ちしております。
【主催】 一般社団法人プロダクト・イノベーション協会(PIA)
【日時】 2023年3月7日(火)13時~17時30分
【場所】 東京大学農学部キャンパス(弥生キャンパス) フードサイエンス棟2F 中島董一郎記念ホール
【定員】 40名程度
申込〆切3月3日(金)ただし、定員になり次第受付終了
【費用】 66,000円(税込み1名様あたり)
銀行振り込みをお願いします。期日:3月末日/4月末日
【プログラムとお申込みについて】 詳しくは、こちらの資料をご覧ください
【講演プログラム】
- 趣旨説明:13:00~13:20
数値レオメータ開発の取り組み 山口 由岐夫(PIA代表理事/東京大学名誉教授) - 展望1:13:20~14:00
数値レオメータに期待すること 瓦家 正英(PIAシニアアドバイザー) - 展望2:14:00~14:30
ものづくりとレオロジー 吉江 建一(PIA常任理事/主席コンサルタント) - 解説1:14:30~15:10
SNAP、数値レオメータの解説 小池 修(PIA主任研究員) - 休憩:15:10~15:30
- 解説2:15:30~16:15
数値レオメータの事例による解説 辰巳 怜(東京大学環境安全研究センター 特任助教) - 解説3:16:15~17:00
非水系の分散剤と溶媒による
分散効果と流動の影響 久保 正樹(東北大学 大学院工学研究科 教授) - 質疑応答:17:00~17:30
普段から抱えておられる疑問も歓迎いたします
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