科学技術創発システムって何?
新たな製品が世に出るには、長い時間がかかります。簡単に言えば、研究者のアイデアから、時には経営陣の方針として、新たな研究テーマが提出され、それが研究計画としてまとめられます。研究計画が認められると、それに基づいて研究開発がスタートします。そして研究開発の中で生じる様々な問題点を解決しながら、最終的に製品として上市されます(下図)。この、いわゆる研究開発フローにおいて、上流側のステージにおいて必要となる、「新規テーマ創出」、「研究シナリオ作成」、そして「研究計画立案」を支援する仕組みが「科学技術創発システム」です。
(※研究開発フローの下流に位置する、課題解決に役立つ仕組みを提供するのが、本協会の事業のひとつであるSNAP研究会です。)
研究シナリオ・計画立案のために 科学技術創発システム |
課題解決のために SNAP研究会 |
科学技術創発システムの必要性
新たなテーマを見つける、あるいは研究計画を立てる、と言っても簡単にできるものではありません。
- 自社の保有する技術シーズに固執するあまり、柔軟な発想が縛られる。
- 研究者の思い込みが強く反映された視野の狭いシナリオになりがち。
- 事業化に至るビジョンが明確でないため、長期の開発に無理が生ずる。
などはよく聞かれるケースではないでしょうか。では、説得力のあるシナリオに求められるものはなんなのでしょうか。我々は、「客観性」、「網羅性」を担保することであると考えます。科学技術創発システムは、客観性、網羅性を保証しつつ、より「スピーディー」に、テーマ創出、シナリオ作成を支援します。
科学技術創発システムで何ができるのか
科学技術創発システムを一言でいえば、「情報処理技術による解析」+「技術コンサルティング」です。通常、以下の流れでコンサルティングを行います。
- 解析:
お客様から提示いただいた技術分野(ドメイン)に対して、ネットワーク分析、自然言語処理、データマイニングといった情報処理技術を使って、論文・特許などのデータソースを客観性、網羅性を担保しながら処理し、俯瞰マップ、性能マップ、トレンドマップといった有用な情報に変換して取り出します。 - 技術コンサルティング:
物理化学の豊富な知見をベースに、解析結果を検討・取捨選択し、有望な研究開発の方向性を導き出します。そして最終的な研究シナリオや、研究計画としてまとめます。
従来からよくある、情報処理技術のみ、あるいは技術コンサルティングのみ、ではなく、「情報処理技術」と「物理化学の知見」のマッチングがこのシステムの最大の特徴です。
本システムを使うことにより、以下の効果が期待できます。
- 研究企画の質を上げる。
- 研究開発の課題を明らかにする。
- 新規用途を探し出す。
これまでの適用事例
これまで本システムを使って調査・分析した事例の一部を以下に示します。
- 太陽電池開発
- リチウムイオン電池開発
- 青色LED開発
- 有機EL技術開発
- 酸化物半導体開発
- 機能性有機薄膜開発
- 抗がん剤開発
お使いになるには
科学技術創発システムを用いたコンサルティングには、目的に応じて、以下の3タイプをご用意しています(調査内容についてはお客様のご要望に合わせてカスタマイズ可能です。お気軽にご相談ください。)。
- 調査:「調査」という言葉が示す通り、ある技術分野全体の俯瞰、動向調査を行います。
- 解析と評価:上記の「調査」に加えて、調査から浮かび上がった技術に対して、物理化学的知見をベースに評価を行います。
- 研究計画:上記の「解析と評価」に加えて、研究シナリオ、計画立案にまで踏み込んだ提案を行います。
※ コンサルティングとは別に、創発システム自体を社内に導入して自分たちで使ってみたい、という要望にもお答えしています。こちらにつきましてもお気軽にご相談ください。